彼女は長い間
子どもの頃から対人恐怖で悩んでいた
話をすること
言葉を出すことに対して極度の緊張があり、
まともに話せなかったのである。
思い出すのは小学校5年生の学習発表会
全校児童、父兄の前での発表会である
学級委員でもある彼女は
自ずとクラスの代表になり
本当は心からやりたくない発表をしなくてはならず
母親の目の前で
真っ赤になり
しどろもどろ
言葉が出ず
思い出すのは 母のあの表情
すがるような目では母親を見たが
嫌なものでもみるような
蔑んだ表情
惨めさだけが残った
それ以来
いやもっと幼い頃からか
心を閉ざしてしまった
人と会話をすることを・・・
自分の気持ちを話すことを・・・
そんな彼女が
35年後に
100名を超える人々の前で 堂々と講演をする・・・。
親の目にはどう写ったか
両親は 学歴もなく、田舎から出てきて商売をし、
必死に家業を拡大してきた。
そんな母親の口癖は
「女は学歴なんかいらない」
そんな母親の教えをずっと否定するように
彼女は努力をし続けてきた
彼女に
大企業の人事担当者や
役員、社長が「先生!先生!」と近づいていく姿を
母親の目にはどう写ったのだろうか・・・
長い月日をかけて
本当に。
彼女は
あの蔑んだような眼差しを払拭すべく
長いこと、努力をしてきた・・・
やっと報われた瞬間だったのかもしれない
心の中に空いていた
ポッカリと空いた穴が
やっと埋まった瞬間だったのかもしれない。
諦めなければ
夢は必ず叶うんだ。